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週刊新潮の告発記事「『文春砲』汚れた銃弾」の顛末 [報道]

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『週刊文春』に対して『週刊新潮』が「『文春砲』汚れた銃弾」と大告発の波紋(篠田博之) - 個人 - Yahoo!ニュース

出版取り次ぎ大手のトーハンが、「週刊新潮」の中づり広告を、ライバル誌の「週刊文春」を発行する文藝春秋の社員に事前に漏らし、「週刊文春」がそうした情報を元に取材を行い、「週刊新潮」の発売前に、「週刊文春」のWeb版記事として掲載したりしたことを糾弾する記事が「週刊新潮」に掲載された。

この記事自体は、決してクソ記事などではなく、なかなか緻密な理詰な記事で面白い。

まず、「週刊新潮」のスクープ記事と同時に発売された「週刊文春」に「週刊新潮」の記事を知っていたかのような追加取材記事が載ったり、「週刊新潮」の掲載予定のスクープ記事が、一足先にWeb版「週刊文春」に出し抜かれたり、という状況が続いたことで、どこかで情報が漏れているのではないか?と疑い始めたのが、3年前だそうだ。
そこから、どこから漏れたのかを探るために、広告の媒体ごとに、微妙に記載内容を変えてみて、どの媒体の情報が漏れたかを特定してゆき、木曜発売の両誌の校了日である火曜日午後に、作成したばかりの車内吊り広告を、取次のトーハン経由で文藝春秋の社員が入手してコピー、社に持ち帰っていたことをつきとめ、その尾行による隠し撮り写真をグラビアに詳細に掲載したのだ。

トーハン自身もは、事実関係を認め、「中づり広告には秘密保持の規定がなく、販促物という認識だったが、他社に関する情報なので配慮するべきだった。違法性や今後の対応については新潮社などと協議していきたい」とコメントしている。

言い逃れができない緻密な取材方法で、執念を感じるな。

これに対し、文藝春秋広報部は、「情報を不正に入手、あるいは不法に入手したこと、それによる記事の書き換え、盗用などの事実は一切ありません」とコメントを出したのだが、

【速報】週刊文春、週刊新潮の告発に真っ向から反論「そうした事実は断じてありません」 仁義なき抗争へ突入か? | ロケットニュース24

私基準では、これが一番のクソ記事。
文春は「真っ向から反論」などしていない。報道するなら、文章はちゃんと読みましょう。
この事件を、面白おかしく、週刊文春と週刊新潮のヤクザ闘争になぞらえたかったのだろうが、肝心のところでズレており、読む気を失う。

文藝春秋広報部のコメントをよく読めば分かるが、この文章は、週刊新潮側の事実関係を否定した内容は含まれていない。文春は「情報を不正に入手、あるいは不法に入手」した事実がない、と言っているに過ぎない。
実際、情報を漏らしたトーハン自身が、新潮社の記事で「秘密保持の規定はないが、他社に関する情報なので配慮するべきだった」と述べており、文春側としては、こうした情報の入手方法は、不正または不法な入手とは考えてない、という見解なら、特にウソも矛盾もない。

これに対する新潮社のコメントが、「組織的に中づり広告を不正に入手していたことに驚きを禁じ得ません。真相を明らかにすべく調査を続けていきます」ときた。
文春が「不正」でも「不法」でもないと反論したのに対し、新潮社は、「不法」という言葉を外し「不正」という言葉のみで、再反論をしたことで、自ら告発記事の弱みを認めたようなものだ。

すなわち、新潮社側も、再反論により、この事件に対し、文春側に法的責任を問うだけの根拠がないことを自ら吐露したと言えるのだ。
仕方ないので、モラルの問題として「不正」があったことを、今後も追及すると宣言したが、さすがにそれでは限界があるのか、週刊新潮での次の号は早くもトーンダウンし、早くも尻すぼみしてしまった。
一方で、週刊文春は、政権を揺るがす新たな文春砲を掲載したりして、それを週刊新潮も後追いせざるを得ないから、「文春砲の汚れた銃弾」報道は、このままフェードアウトする気配だな。

そもそも、特定秘密保護法の発効以降、どこの会社も、企業間の情報のやり取りについては物凄く神経質になっているのに、大手出版社の新潮社ともあろうものが、トーハンとの間でしっかりした秘密保持規定を取り決めていなかったこと自体が驚き。
まともな一般企業に勤める人間なら、むしろ「新潮社の方が馬鹿なんじゃないの?」という見方をする人は少なくないはずだ。

自分の会社で、もしこの事件があったら、まず自社のトーハン担当責任者に、トーハントの間で情報漏えいに関する取り決めができていなかったことで、厳重注意(場合によっては処罰)が課されると同時に、再発防止の報告書を書かされ、それを全社教育の題材に使われること間違いなしだ。
違いますかね?

モラルの問題であっても、事件に公共性があれば、報道として取り上げる意味はあるだろうが、私企業間のトラブルに関しては、何の法律にも抵触しないのであれば、それをモラルの問題として糾弾しても何も意味はない。
株主から、むしろ社長が、コンプライアンスに関し無能で損害を与えたと訴訟されるだけである。

新潮社 - Wikipedia

そうした大手出版社の不思議な企業体質については、実は、新潮社だけでなく、講談社、文芸春秋、小学館など日本の大手出版が、軒並み非上場企業だという、かなり特殊な状況にあることが大きいのではないかと思っている。

非上場だから、会社としての経営情報の開示もほとんどなし。株式を公開している上場企業なら、物凄く気にせざるを得ないIR情報も、CSR情報も、環境活動報告もほとんど開示されていない。
そうした隠蔽的な企業体質が、情報の隠ぺい体質や、作家との間の不明朗な契約なんかも生んでいるともいえるし、今回のような事件で、一般企業からはズレた体質を露呈しているように思うのだ。

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