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ファーウェイ製品の政府調達排除関連のニュース(2) [IT]

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さて、昨日の続きを書きたい。

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ファーウェイ、「余計なものが見つかった」フジ報道を否定 - Engadget 日本版

そんな中、フジテレビが、「ファーウェイの端末を分解したところ、ハードウェアに余計なものが見つかった」という、与党関係者の談として伝え、これが論議を呼んだ。

米国の政府調達排除の話は、基地局設備の話だったのが、ここでは、なぜか突然端末の話にすり替わっており、それに余計なハードがついているという、実にあいまいな情報を、フジテレビは技術的な裏を取ることなく、報道してしまった。

そもそも、与党関係者に、回路基板を見て何がよけいかわかる技術者がいるわけがないと思うし、だからこそ「ハードウェアに余計なも」などというド素人の表現を使ったのだと思われる。

最近のスマートフォンなどの端末は、すべてSoC(System On Chip)を搭載し、それによって機能を実現している。
SoCというのは、どんな端末にもほぼ必要な機能をすべて一つに収納したLSIチップのことで、それにアナログ回路や、国やエリアの事情や通信方式の世代に応じた外付けLSIを組み合わせて、端末を作り上げている。

昔はもっと端末を構成するチップのこうせい数はもっと多かったのだが、LSIの集積度がどんどん上がり、スマートフォンに必要な機能は余裕で一つのチップに収まるようになってしまったのが現在の状況だ。

MediaTekのスマホ向けSoC、「Snapdragon」に対抗 - EE Times Japan

そして、ファーウェイは、自社で作るスマートフォン向けのSoCを開発する「MediaTek」を子会社に抱えており、そのSoCはファーウェイだけでなく、中国の他の会社の端末や、Amazonのタブレットなどでも、幅広く使われているのだ。

ここまで言えば分ってもらえると思うが、ファーウェイは何か悪意の回路を端末に組み込みたければ、回路基板に見えてしまい、しかも、大幅にコストが上がるような余計な外付けチップでそれを実現する必要などどこにもなく、子会社のMediaTekに対し、SoCの空いたスペースに、そうした回路を組み込むよう命令すれば、簡単にしかも外にバレることなくできてしまうのだ。

なんでそんな立場にあるファーウェイが、わざわざ「ハードウェアに余計なものをつける」という馬鹿馬鹿しい低レベルのことをやる必要があるのか、技術がわからない人には分からないんだろうな。

この点だけを見ても、フジテレビの報道に全く根拠がないことが明白だ。

もう一点、ファーウェイで米国が懸念していることは、すべてインターネットプロトコル上の話ばかりだ。
当たり前だが、5Gとか4GとかWi-Fiとか、通信方式に依存した部分は伝送媒体の話なので、インターネットプロトコルはそうした通信方式や通信媒体に依存しないプロトコルソフトウェアである。
だから、どんな端末、どんな通信方式でも相互に通信ができるのである。

すなわち、暗号鍵の処理などを除けば、インターネットプロトコルは、CPUによって実行されるソフトであって、中国製品に対する懸念は、こうしたインターネットプロトコルスタックのどこかに、悪意の動作を引き起こすトラップを引き起こす可能性があるということであり、それは完全にソフトウェアの問題であって、別に何か特殊なLSIチップで実現されるわけではないのだ。

ということで、いかにフジテレビの報道が馬鹿馬鹿しい素人報道であるかが、分かる。

ファーウェイが再度声明 「スパイウェア」報道は事実無根、法的手続きへ(ITmedia Mobile) - Yahoo!ニュース

ファーウェイがフジテレビに対し、、「事実無根」と否定し、虚偽報道として提訴するのも無理はない。

ファーウェイ製品危ないか セキュリティー専門家の目  :日本経済新聞

また、日本経済新聞が12月12日付で掲載した「ファーウェイ製品危ないか セキュリティー専門家の目」と題する記事に、「仕様書にないポートが見つかった」という記述が取りざたされているが、これも「実害は断定できないが、これまでに何度か深刻な問題が見つかっている。例えば通信機器に、仕様書にないポート(通信の出入り口)が見つかった例がある」いう発言が、私には何が深刻な問題なのかがさっぱりわからない。

まず、この「ポートが見つかった」という発言が、最終的に専門家は実害はないと言っているのに、それを日経新聞の記者が、巧妙にファーウェイ製品に謎のポートがあることが危険であるかのように誤解させる書き方をしており(実際素人なので誤解したのかもしれない)、まずこの点で公平なニュースとは言えない。

また、この「ポート」というのが、物理的な通信端子のことなのか、インターネットプロトコル上のソフト的なポートのことなのか、記事からは判別できないのだが、自分が開発に関わった製品でも、顧客には仕様開示しない端子なんて普通にあったぞ。

具体的には、デバッグ用のポートだったり、故障時のログ取得用のポートで、そんなものが見つかったからと言って、何か懸念があるというなら、日本製も含めたほとんどのIT製品はそうした懸念があることになる。
そうではなくて、ソフト的なポートだとしたら、それはそれで、それを監視し続ければ、どこに対してどんなプロトコルで通信を行っているかは、簡単に追跡できるはず。
それもせずに懸念だけで「深刻な問題」など発言する人間を、どう信じたらいいのだろうか。

ファーウェイの基地局は、現状、ソフトバンク、au(WiMAX2+)でも大量に導入されているし、スマホやタブレットなどの端末に至っては、NTTドコモも含めたくさんの端末が全国で使われている。
通信キャリアは、そうした4G/3Gネットワークを常に監視できる立場なので、もし、ファーウェイの基地局や端末が、何か不審なノードと怪しい通信を行っていれば、たとえ中身は暗号化されていても、通信先とプロトコル、そのトラフィック量などの外のデータを見るだけで、何かおかしなことが行われていることは、あっという間にバレてしまう。
インターネットプロトコルというのは、そういうものだからだ。

特に審査が厳しいNTTドコモをはじめとする通信キャリアが、網で実際に使われている端末を試験して、何も怪しい通信が見つけられないのなら、それは本当に何もないのである。

ただし、これはあくまで海外向けの製品の話であって、中国国内のインターネットは、完全に国家に監視されているし、中国国内向けの製品は、基本、何が仕込まれていても不思議はないので、完全に中国向けに作られ、海外で売られてない端末というのは、ちょっと怖いところがあるかもしれない。

とはいえ、そうした端末を日本に直輸入して、(本当は法律違反だが)実際にNTTドコモなどのSIMカードを差して使っている人が、かなりいるのも事実であり、そのような状況でも通信キャリアが何ら怪しげな通信を検知できないのだとしたら、やっぱり何もないのだと思う。

今起こっている話は、あくまでトランプ大統領の対中貿易不均衡対策の一環でしかなく、それを仕掛けるための、「イランが核兵器を開発してる」という湾岸戦争の理由と同じぐらい根拠のないハッタリだと思った方がいい。

関連記事:
ファーウェイ製品の政府調達排除関連のニュース(1):今日のクソ記事:So-netブログ






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