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「ハイパーループ」と「ループ」は全く別物なんだが・・・ [科学技術]

悪気はないにしても、まったく中身を理解せず、書いてしまう技術系記事というのは、罪深い。

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イーロン・マスクの地下輸送システム「ハイパーループ」計画が、規模を縮小して動き始めた|WIRED.jp

これなんかもその一つ。

イーロン・マスクが提唱している「ハイパーループ」とは、真空に近いパイプの中に、浮上する車両を高速で走らせる新しい高速交通システムだ。

それに対し、この記事で言及している「ループ」は、大都市の地下にトンネルを掘って、そこに自動運転のEVを走らせる都市型交通網だ。

同じくイーロン・マスクが提唱している新しい交通システムではあるが、全く別の目的で、別の技術に基づく交通網であって、「ハイパーループ」と「ループ」とは何も関係がない。

ところが、上の記事では、それを「ハイパーループ」と「ループ」という名称が似ていることからか、あたかも「ループ」が、「ハイパーループ」を実現するための前段階のシステムだと思ってしまったらしい。

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共同通信「山中氏、科学誌創刊に深く関与か」の酷い後処理 [科学技術]

京大iPS研で論文不正 山中教授ら謝罪  :日本経済新聞

京大iPS研の論文で不正があったという報道が、iPS研所長の山中教授がテレビで謝罪するニュースがたくさん流れ、世間をにぎわしている。

論文は、血液中の有害物質や異物が脳に到達するのを防ぐ「血液脳関門」と呼ぶ組織を人間のiPS細胞から作製したという内容だったが、京大の調査委員会では論文を再現できず、論文を書いた山水助教は調査委に対し、1人で不正を行ったことを認めたそうだ。

山中教授は、この論文に直接かかわってはいなかったが、研究所トップとして、不正を防止するためのチェック体制が機能していなかったことを謝罪し、管理方法を見直すという。

ここまでは、特に問題はない。山中教授は、直接かかわりはなかったとはいえ、トップとして責任を負うのは当然のことだろう。

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「共同通信、印象操作で山中教授を叩く」⇒「炎上」⇒「記事をURLそのままでタイトルと内容をごっそり書き換えて改竄」 - Togetter

驚いたのは、共同通信のこちらの記事に関して。

山中氏、科学誌創刊に深く関与か 京大、iPS研の論文不正発表 - 共同通信

こちらにアーカイブされているのが最初に掲載された記事だが、「山中氏、科学誌創刊に深く関与か」というタイトルで、

京都大iPS細胞研究所の研究不正で、問題の論文を掲載した米科学誌ステム・セル・リポーツの創刊に、当時、国際幹細胞学会の理事長を務めていた山中伸弥・研究所長が深く関わったことが25日、分かった。
この論文の審査に山中氏は関与していないとみられるが、現在も編集委員の一人となっている。科学誌の論文審査制度に対しては、不正を見抜く仕組みが不十分だとの声もある。
山中氏はノーベル賞を受賞した2012年、学会と米出版社が提携し新たな科学誌を創刊すると発表。無料公開を原則とし、iPS細胞などの幹細胞に関する基礎研究から医療応用までの幅広い領域の論文を扱うとした。

という内容の記事が掲載されたのだが、その内容を読むと、「昔、米科学誌ステム・セル・リポーツの創刊に、山中伸弥・研究所長が深く関わった」という、今回の不正事件とは何も関係ない内容。

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科学技術ニュースの伝え方の難しさ [科学技術]

軌道エレベーターの基礎実験が始まる:トドのつまりは・・・ V2:So-netブログ

宇宙輸送船「こうのとり」6号機で、軌道エレベーターや宇宙ごみ除去の基礎実験が行われることは、私のブログでもご紹介したことがある。

宇宙ごみ除去実験は失敗 「こうのとり」6号機  :日本経済新聞

その宇宙ごみ除去実験が、テザーと呼ぶワイヤが伸ばせず、失敗したというニュースを聞いて、ちょっと残念ではあったが、私にとっては、それだけのことではあった。

実験失敗と報じられた「こうのとり」6号機の真実 宇宙ステーションへの物資輸送、100%成功してるのは日本だけ | JBpress(日本ビジネスプレス)

ところが、その後、こちらのニュースを読んで、「こうのとり」6号機自体が、すべて失敗に終わったかのように伝わってしまっていることを知った。

私自身は、宇宙輸送船「こうのとり」6号機というのは、まずは国際宇宙ステーションに物資を届けるのがメインタスクであり、こちらについては今回も大成功だと思っていたから、これは予想外。

国際宇宙ステーションへの物資輸送に関しては、日本のロケットのみが一度も失敗しておらず、最も重要な物資輸送は、日本に任される状況となっているぐらいだ。

ロケットの打ち上げは物凄く高くつくので、「こうのとり」では毎回、各所から募集した中から有益なサブミッションを実行するということも行っている。そういう形でなら、比較的ローコストで宇宙での実験が行えるからだ。

今回の宇宙ごみ除去の基礎実験は、そうしたサブミッションの一つが失敗したに過ぎないのだが、それが単独のニュースとして伝わると、ネットでも世界中に拡散され、あたかも「こうのとり」6号機全体が失敗であったかのような印象となってしまったことを、上記記事では嘆いているのだ。

似たようなことは、最近、他にもあって、例えば、福島第一原発2号機の内部をロボットで探索したところ、毎時530シーベルトというこれまで計測したことがない高い放射線量を計測し、まもなくロボットは動けなくなったことがニュースで流れたのだが、

福島第一原発2号機の放射線量が過去最悪を記録か。人なら数十秒で死に至る毎時530シーベルトと推定|ギズモード・ジャパン

まずはこちらの記事などは、「放射線量が急激に上昇した」という間違ったニュースを流してしまっている。
そもそも、今回、原子炉内部の、これまで到達したことがなかった中心部にロボットを到達させ観測したのだから、同じ場所での過去の計測履歴はなく、「従来に比べて放射線量が急激に上昇した」という表現は明らかにおかしいし、その後の記事の表現も、福島第一原発の状況が以前より悪化しているかのような表現になっているが、実際には、原発外で計測される放射線量には何ら変わりはないのだ。
今回のニュースの本質は「ロボットをより原子炉中心部に近付けたところ、今までより高い放射線量を計測した」という当たり前のことを書いたに過ぎないのに、それが重大な問題があるニュースであるかのように書いていることだ。

まずいのは、「ギズモード・ジャパン」のような有名なニュースサイトから、こうした誤報が出ると、それが真実としてすぐに広まってしまうこと。

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