「ネット同時配信」は、NHKの希望が通れば放送扱いとなる予定であり、そうなれば、そのコストはテレビ受信料で賄われる。
一方、「NHKオンデマンド」や「TVer」は、どこまで行っても、NHKからコンテンツの提供を受け、オンデマンド配信している事業者に過ぎず、「NHKオンデマンド」は、NHKとは独立採算で、有料会員の会費で運営しているし、「TVer」は、コンテンツの前後途中に挟まれるCMの広告収入で運営されており、いずれの配信に際しても、NHK受信料は使えないし、使ってもいない。
どこにも「矛盾」はないのだが、上記記事は、その区別がよく分かっていないで書いているように見え、不勉強にもほどがある。
NHKから国民を守る党 - WikipediaN国党の立花孝志氏は、元NHKだけに、この辺の法的根拠はしっかり分かった上で、NHKに関する主張を繰り広げており、その点では信用がおけのだが、立花氏の主張を記事にする際も、その根拠が分かっていないのではないか?と思えるジャーナリストが、この記事に限らず多くて、残念である。
今回のケースでは、NHKの受信料は何も関係がなく、むしろ実際に気にすべきは、NHKが有料で行っている「NHKオンデマンド」と、無料配信の「TVer」の関係だろう。
「TVer」でNHKの番組を見てみたところ、番組の開始前にCMが流れるのだが、それが「NHKオンデマンド」の広告しか流れないようだ。
すなわち、「TVer」でNHKが無料配信するコンテンツの配信コストは、事実上、有料サービスの「NHKオンデマンド」が負担していることになる。
早速、調べてみたが、「NHKオンデマンド」でも、会員登録しなくても無料で見られるコンテンツは僅かだが確かにあり、「ダーウィンが来た!」は最新回が無料配信されている。
しかし、「チコちゃんに叱られる!」を始め、他の配信番組のほとんどは、「NHKオンデマンド」では、最新回も含めすべて有料となっている。
すなわち、「NHKオンデマンド」では有料会員でしか見られないコンテンツなのに、それが「TVer」では無料で見られるケースが多数存在するのだ。
しかも、「TVer」での配信コストは、「NHKオンデマンド」の有料会費から得た利益で、賄われていることになるから、ややこしい。
「NHKオンデマンド」の立場で見ると、「TVer」での無料配信は、「NHKオンデマンド」を有料契約してもらうためのプロモーションという位置づけなのかもしれないが、「NHKオンデマンド」の有料会員は、このことに納得出来るだろうか?
NHKの「TVer」進出についての、一番の問題点はここだと思う。
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