今、衆議院解散する理由があったとしたら、安倍首相が、憲法改正は自分がやりたい、あるいは、自分しかできないと思っているからだろう。
【憲法公布70年】憲法改正案を国民投票にかけるタイミングは最短で2年後になってしまう!(1/2ページ) - 産経ニュースこちらの記事によれば、憲法改正を発議してから国民投票にかけるまで、手続き的に最短でも2年かかるという。
実際には、衆院で100人以上の賛同を得て発議できる憲法改正案をまとめるだけでもまず1年かかるだろうから、両院の採決を通すまでには最低3年はかかる。
前回総選挙は2014年12月だったので、解散しなければ次の総選挙は2018年12月。あと1年しかないため、そこまでに憲法改正を通すことは時間的に不可能。
だから、安倍首相としては、自分が首相である間に憲法改正を実現したければ、2/3を確実に確保できる情勢を見極めて衆議院を解散し、憲法改正に必要な2/3の議席数を、改めて4年間確保するしか手はないのだ。
安倍首相が衆議院解散を急ぐ理由 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93このような安倍首相の意図については、ニュースメディアも分かっている人も多いはずなのだが、あまり具体的に言及する人がいないのが不思議でならない。
もしこの推測が当たっているなら、今回の総選挙で、与党だけで2/3を確保したら、安倍政権が直ちに着手するのは、今回の総選挙で掲げた「消費税率アップ分の用途変更」などではなく、「憲法改正の具体的手続き」であるはずだ。そうでないと、間に合わないからだ。
従って、今回の総選挙でどこに投票するかは、単純に憲法改正をどうしたいのか、という視点だけで判断すればいい。
とはいえ、現在の衆議院で、大半の議員は改憲派であり、もう少し詳しく分類する必要がある。
(1)安倍首相で改憲:自民党(主流派)、公明党
(2)安倍首相以外で改憲:自民党(反主流派)、希望の党、維新、立憲民主党
(3)改憲反対:共産党、社民党
与党は、基本、安倍首相の元で、憲法改正を進めたいということで、衆議院を解散した訳だが、一方で、石破氏や野田氏、小泉氏などの、憲法改正は必要だが、安倍首相の進め方には反対の反主流派も存在し、希望の党の小池さんも、安倍首相との連携は無理だが、彼らとは組む可能性があることを示唆している(裏切って安倍首相と組む可能性も皆無ではないが)。
公明党は、改憲ではなく加憲だと言っているが、ここまでの姿勢を見ていても、自党の筋を通すよりは、政権維持を優先する可能性は高そう。
立憲民主党も、基本、憲法改正は必要との立場で、改正内容や手順に関して安倍首相の元でやるのに反対しているに過ぎない。
維新の立場は微妙だが、今回の総選挙では希望の党と選挙協力をしており、今後も連携すると見られる。
純粋な憲法改正反対は、共産党、社民党ぐらいだ。
すなわち、今回の選挙では、
・安倍首相の下で憲法改正をすべきだと思う方は、(1)の人たちに投票すればいい
・安倍首相の下で憲法改正するのは反対で、それ以外の政権で憲法改正をすべきだと思う方は、(2)の人たちに投票すればいい
・憲法改正絶対反対という方は、(3)に投票すればいい
これだけだ。
自民、公明が2/3以上の議席を確保すれば、このまま、安倍首相は、憲法改正に邁進するだろう。
自民、公明が議席を減らして、2/3以上を確保しなかった場合が、一番微妙で様々なシナリオが考えられる。
小池さんが豹変して、安倍さんと手を組めば、憲法改正はスムーズに進むかもしれない。
しかし、自民の議席が大きく減ったら、安倍さんが辞任し、その上で希望、維新と手を組む可能性があるが、憲法改正に動きはより慎重になるのは間違いないだろう。
自民の議席が大きく減り(と言っても、過半数を切ることは考えにくい)、さらに、希望より、立憲民主党や共産党が躍進することになると、憲法改正の動きは、安保法制の是非レベルから振り出しに戻るかもしれない。
もちろん、憲法改正以外の争点というものもあることはあるのだが、今回の選挙で自民党、公明党で過半数を確保できない事態は考えられないので、そこで判断して投票しても票の無駄でしかない。
今回は、安倍首相の本音である憲法改正について、どう考えるかに基づき、投票行動を取るが一番合理的だと思うのだ。
【追記】衆議院選挙の結果は、ギリギリではあるが与党のみで議席の2/3を確保したので、安倍首相は一か八かの賭けに勝ったということになる。
安倍首相は、間違いなくこの4年の間に、憲法改正を実現するために邁進するだろうな。
立憲民主党は思ったより善戦したが、それで何が変えられるかというと、何もない気がする。
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