2017年6月現在、PSVR対応ソフトは全90本。
この数値は、日本での発売ソフトの数だろう。全世界規模では150タイトルが発売されているという記述が、公式発表にあるからだ。
こう残念そうに語るのは、ゲーム専門誌「ゲームラボ」(三才ブックス)編集部の後藤将之氏だ。
後藤将之氏は、ゲーム専門誌「ゲームラボ」(三才ブックス)編集部の方だそうだが、ネットで後藤氏について検索しても何も記名記事は出てこず、編集部内での地位も不明(少なくとも編集長ではない)で、どの程度信頼のおける人物かは全く分からなかった。
それはさておき、その後藤氏へのインタビューで、PlayStation VRの現状を語らせ、日本でのPlayStation VRの状況について問題提起しているのだが、その根拠がそれにそぐわない次のような内容となっている。
しかし、海外のサイトが公開している『バイオハザード7』のゲームプレイ情報によると、同タイトルの全世界220万人以上のユーザーのうち、PSVRでプレイしたユーザーは約23万6000人(6月26日時点)。つまり、全ユーザーの約10.7%しか体験していないことになる。日本だけのゲームプレイ情報は未公開だが、現状では、やはりゲームファンがPSVRに魅力を感じていないことがうかがえる。
国内市場について意見を言っているはずなのに、何故かその根拠が「バイオハザード7」の海外での評価の話。
しかも、しかも、「バイオハザード7」をプレイした人のうち、PlayStation VRでプレイした人は約10.7%しかいないことをもって、「ゲームファンがPlayStation VRに魅力を感じていない」と結論付けている。
この数値の見方も明らかにおかしい。まず、PlayStation VRの普及台数は、2017年末で約200万台だそうで、PS4本体が7000万台だとすると、普及率はまだ3%にも満たない。
だとしたら、「バイオハザード7」をプレイした人のうち、PlayStation VRでプレイした人が、「普及率の3倍以上の約10.7%もいた」というのが正しく、「ゲームファンは、明らかにPlayStation VRに魅力を感じている」という、記事とは真反対の結論が導き出されることになる。
PSVRの性能には、正直ガッカリという印象でした。特に解像度は“2世代前のゲーム”に毛が生えた程度でしかなく、プレイ画面はかなりボヤけます。さらにヘッドセットをかぶっても、連動するはずの視点とゲーム操作の間にズレが大きいため、メディアで騒がれたほどの没入感や臨場感は得られませんでした。
後藤氏は、PlayStation VRの基本性能に対しても、強いダメ出しをしている。
HTC、高解像度やハイレゾ対応を図ったVR HMD「VIVE Pro」 ~ケーブルレスVRを実現する無線アダプタも - PC Watch実際、PCに繋いで使うVRデバイスには、HTCの「Vive Pro」のように画面解像度もフレームレートも遅延時間も、PlayStation VRより優れたものもある(価格も10万円以上するが)のは確かだが、かといって、後藤氏の言うように、PlayStation VRが使い物にならないシロモノとは思わない。
実際、一般の人気ゲームのレビューを読む限りでは、後藤氏が批判するような解像度や、遅延時間、視野角に対する不満の声がほとんど見られない。それは多分一般消費者は、ハイスペックな「Vive Pro」などと比較する機会などなく、PlayStation VR用に提供されたゲームソフトを素直に評価するだけだからだろう。
私自身も、何度か試させてもらったことがあるが、後藤氏の意見には賛同しがたい。
私は、ソニーのHMZ-T2という3D表示ができるを持っているが、これについては、正直、長時間見続けるのが辛くて、使わなくなってしまった。
元々乱視と近視が強い私なので、3D映像や3Dゲームを見続けると、目への負担がハンパなかったのだ。
しかし、そんな私でも、PlayStation VRに関しては、そのような目への負担をほとんど感じないし、遅延の違和感もほとんど気にならなかった。
敢えて言えば、視野角がもうちょっと広いと、さらにいいな、とは思うが、十分実用的だと思う。
さらに高価なHMDと比較すれば違いは明白なのだろうが、PlayStation VR単体だけで評価すれば、ゲームとして没入できる性能ラインは十分クリアしているように感じた。
「同時発売のタイトルにも目玉になるものがなく、現在もそれほどレパートリーは増えていません。結局、PSVR購入者の満足度が低かったので、ソフトの需要も伸びていないという悪循環です」(後藤氏)
市場展開の面では、確かに、日本でPlayStation VRの入手難が続き、それほど盛り上がっていないのは、客観的にはそうかも知れないが、それはPS4自体からしてそうだった。
しかし、海外もそうかというと、全く違う状況が見える。
PS4が売れまくっている海外での評価はどうだろうと、拾ってみると、
「PlayStation VR」海外レビュー総まとめ―ローンチタイトルの出来栄えや如何に? | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト2016年ベスト&ワースト『PSVR』ゲームに対する海外の反応。| かいこれ! 海外の反応 コレクションPSVR人気おすすめゲーム20選2017年下半期版森氏の記事の言うこととは違い、ユーザーから評価が高いゲームも多数あるし、実売本数が1,220万本に達するという記事もあり、VRソフトのエコシステムは成立し始めていることが分かる。
PSVRの感想レビューまとめ「週に1回AV見るときしか使わない」など - Togetter見え方は!?PS VRで「DMM.com」の動画を観てみた感想 | スキあらばGAMEPSVRでDMMのVR対応のAVをみてみた感想 | hycko.blog一方、面白いのは、日本では、PlayStation VRでVRエロ動画を見ることが、密かにはやり始めていること。日本での新メディアの普及の鍵はエロだというのは、やはり鉄板の法則なのだろうか。
ゲームソフトだけを見て、この状況を見逃しては、PlayStation VRの正当な評価はできないだろう。
ここまで見てきた情報を俯瞰で見れば、PlayStation VRは、日本での盛り上がりはエロVRを除いてイマイチだが、全世界的に見れば、人気のあるソフトも出てきていて、人気が定着し始めているという方が正しいだろう。
【祝】PSVR、累計実売200万台を突破?さらに199ドルへの値下げを発表 : PSVR速報この状況を受けてか、昨年末に、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、米国でPlayStation VRの価格を199ドルへの値下げすることを発表した。
こうした積極的な施策も、米国でPlayStation VRが本格的に売れ始めていることを示していると言えるだろう。
PSVRの本体価格は約5万円もする。ただの“オモチャ”にしては高すぎる値段であり、ライトユーザーが気軽に遊べるわけでもない。PSVRは、なんとも中途半端なシロモノなのだ。
200ドルまで下がれば、後藤氏のいうような「“オモチャ”にしては高すぎる値段」とはもはや言えないだろう。
さらに、この記事の後半では「任天堂の3DSを彷彿とさせる、PSVRの末路」と題し、PlayStation VRに未来がないと結論付けているが、これも全く論理的ではない。
3DSは発売当時、立体視による3D画面でのプレイが、従来のゲーム機にはない新機能として注目を浴びました。しかし、キラータイトルが不足し、また前世代機の『ニンテンドーDS』と比べて高価だったことなどから、販売台数が伸び悩み、発売からわずか半年で異例の本体価格引き下げを余儀なくされたのです。
Nintendo 3DSの裸眼3D機能の評判が高くないのは確かだが、だから「PlayStation VR」のVR機能もダメだというのは、機能が違い過ぎてあまりに論理が飛躍し過ぎだ。
テレビでも、同様に3D機能の普及は完全に失敗に終わったが、だから全く別の機能である4KやHDRも失敗に終わる、と結論付けられるだろうか?
それと同じだろう。
さらに、例え話としてウマくないのは、結果、「3DS」は市場から消えておらず、空前の大ヒットとなっていること。
なんでそんなものを、失敗の例えに出したかな?
記事の論旨に従い、3DSを値下げしたら結果大ヒットしたというなら、PlayStation VRだって、北米のように値下げしたら大ヒットする可能性がある、と言えてしまうではないか(笑)
「PSVRは、再来年くらいには『あんな変なのもあったな』なんて懐古されているのではないでしょうか」(後藤氏)
そう考えると、果たしてこの予測が当たるだろうか? 少なくとも欧米ではそうはならない気がするのだが。
そして、ソニー自身も、ことPS4に関しては、ガラパゴスな日本市場を最初から見限っているとも言え、欧米で売れればそれでよしと思っているのだから、日本市場で「PlayStation VR」が成功するかどうかなんてちっぽけな話、あまり意味はないんじゃないだろうか。
※ここまで書いてきて、何だかソニーからお金をもらっているかのように誤解されかねない記事になってしまったが、もちろん私自身はソニーとは全く無関係だ。私の本意は、「何かをDISる記事を書くなら、少なくとも元の情報から論理的な結論を導き出して欲しい」というところにあることをご理解頂きたい。関連記事:
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